新型コロナウイルスによる巣ごもり生活が続いたことで、家がより居心地よく、リラックスできる空間であることが重要になりました。

共に生活をする家族との関係性もより深くなり、人だけではなくペットとの絆もコロナ以前より強くなったと感じている人は少なくないでしょう。

そして、そんな幸せな暮らしを長く守っていくためには、ペット自身も健やかに生きられる環境を整えることが何より大切です。

「犬と猫の真の健康」を長年にわたりサポートしているロイヤルカナンの取り組みについて、ロイヤルカナン ジャポン コーポレートアフェアーズ ディレクターの倉橋愉美⼦さんに聞きました。

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ロイヤルカナン ジャポン コーポレートアフェアーズ ディレクター倉橋愉美⼦さん

コロナ禍で人とペットの関係性はより深くなった

——コロナ禍以前と現在で、ペットとオーナーの関係性に変化はありましたか?

ペットとペットオーナーの関係は、国によってかなり違いがあります。たとえばヨーロッパでは、牧羊犬やネズミを捕る猫といった使役動物から人と動物の関係が始まっていますが、日本は古くから犬や猫を愛玩動物として慈しむ文化がありました。

そのような背景も影響して、日本では「ペットも家族の一員」という考え方が強いように思います。コロナ禍で行動が制限されるようになったことで、人がペットに癒しを求める傾向が今まで以上に大きくなり、その結びつきがより強くなったと感じています。

——そもそもなぜ、人は犬や猫と一緒に暮らしたいと考えるのでしょうか? ペットと人が触れ合うことによって得られるものについて教えてください。

ペットと暮らすことで得られるメリットについては、さまざまな調査結果が上がっています。

たとえば、犬を飼っている高齢者は運動量が多く歩行速度も速い傾向にあり、リハビリなどのモチベーション維持につながっているという海外の報告があります。

また、子どもの情操教育に与える影響も大きく、米ミシガン州で思春期の子どものいる家庭を対象に実施した調査では、ペットを飼育していると自尊感情を得やすいという結果が出ています。

年齢を問わずペットがもたらす影響はとても大きく、ペットの存在が人間の心身の健康維持に役に立っているといえるでしょう。

——人とペットの関係性が深くなったことによる課題などはありますか?

「かわいいから一緒に暮らしたい」という気持ちでペットを迎える人も多いと思いますが、ペットを健康に育て、その生涯に責任を持ち、共に幸せに暮らしていくためには、オーナーが正しい知識を身につけることが不可欠です。

今はさまざまな情報をインターネットから入手できますが、それらの情報がすべて正しいとは限らず、情報の信憑性をオーナー自身が判断して取捨選択していくことは容易ではないと思います。

そのためロイヤルカナンでは、正しい情報をお伝えし、ペットオーナーの責任感を醸成するためのさまざまな取り組みを行っています。

「互恵の経済学」に基づいて、ペットの真の健康をサポート

——ロイヤルカナンとはどんな会社なのでしょうか? ロイヤルカナンが目指すものとは?

ロイヤルカナンは1968年、フランスの獣医師によって始まった会社です。創業者のジャン カタリーが、犬の皮膚病を薬ではなく食事で治していくことはできないかと考え、犬用の「イエロースープ」というフードを作ったのが始まりでした。

以来50年以上にわたり、犬と猫を「真の健康」に導くことをミッションとして、品種・年齢・身体のサイズ・ライフスタイル・健康状態などによって必要な栄養ニーズが異なる個々の犬と猫に対して、最適なフードを提供しています。

——ロイヤルカナンは「互恵の経済学」に基づいて、ビジネス(モデル)を進化されようとしているとのことですが、これはどのようなものでしょうか?

日本ではまだ馴染みがない言葉だと思いますが、ロイヤルカナンが属するMARS(マース)グループが、オックスフォード大学ビジネス・スクールと共同で開発した、新しい経営モデルです。

自社の利益だけを追求するのではなく、関係する企業・有識者などとの協働を通じてお互いに影響し合い、関係を深化させることで、共通の目的を持つ関係者全員が発展していくという考え方です。

人的資産や社会的な存在価値など、複数の視点から複合的に企業価値を評価することも特徴で、日本人になじみの深い「三方よし」をさらに発展させた、社会的課題と自社の発展を両立する実践的手法ととらえていただけるとわかりやすいかもしれません。

——「互恵の経済学」に沿った活動として、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

ロイヤルカナンが提供する商品はプレミアムペットフードと食事療法食ですが、本当の存在意義はフードを提供する会社としてではなく、「犬と猫に真の健康をもたらすヘルスカンパニー」としての活動にあると考えています。

活動の一環として、ペットオーナーの皆さんが正しい情報にアクセスしやすい環境づくりに力を入れています。

具体的には、ペットオーナーへの啓発はもちろんですが、ペットオーナーが接する機会の多い獣医師やブリーダーなどの専門家にもさまざまな情報を提供しています。そうすることで、ペットオーナーが得る情報の質を高め、関係者全員で犬と猫の真の健康を実現していくことを目指しています。

たとえば、ペットの医学の専門家である臨床獣医師の方々が、多忙な本業の傍らに継続的な学びの機会を確保するのは容易ではありません。

そこで、オンラインのプラットフォームを使い、短時間であっても効率よく基本から応用までを体系的に、また最新の情報まで得ることのできる「ロイヤルカナンアカデミー」を生涯教育の場として提供しています。

ここでは、獣医大学での限られた講義時間内では深く学習することができなかった「犬と猫に特化した栄養学」や、繁殖学・公衆衛生学や行動学といった、これまでにロイヤルカナンが専門家との協働によって培ってきた知識はもちろん、ペットオーナーとの対話で必要とされるコミュニケーションの理論なども学ぶことができます。

また、獣医学生には、臨床医はじめさまざまな道で活躍する先輩方から直接仕事の魅力ややりがいなどを聞き、キャリア形成や就職活動に生かせるセミナーを開催しています。

これらの取り組みは自社の短期的な利益にはつながりませんが、5年、10年と続けることでペット業界全体を活性化し、専門家とペットオーナーの信頼関係構築にも寄与でき、最終的には私たち自身も関係者の一員として「犬と猫の真の健康」という目的を実現できると考えています。

このように、「自社の利益のみを追求するのではなく、ステークホルダーとの持続的な関係にも配慮し、相互に利益が得られる」取り組みを継続的に行っていくのが、「互恵の経済学」の考え方です。

病院を嫌がりがちな猫が来院しやすい病院を

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——その他にはどのような取り組みをされていますか?

猫は犬に比べて病院に行くことを嫌がる傾向があるため、世界的に来院率が低く、病気の発見が遅れることが懸念されています。

そこで、ロイヤルカナンでは「ねこ医学会(JSFM)」のファウンディングパートナーとして、猫にとって来院しやすい環境を整えている病院「キャット フレンドリー クリニック(CFC)」を増やす取り組みをサポートしています。

CFCを増やすことで、より多くの猫とペットオーナーに気軽に来院していただき、猫の健康維持につなげたいと考えています。

また、昨年グローバルで発足した「ロイヤルカナン財団」では、人々の生活を支える犬や猫を支援しています。

ロイヤルカナンとの利益相反がないことを条件として、ハンディキャップを持つ人の生活を支える聴導犬や介助犬、病理細胞由来の特殊なにおいからガンを見つける探知犬、老若男女のメンタルケアに関わる犬や猫など、世界中の犬と猫の活動を精査してその活動原資を支援しています。

ペットと幸せに暮らすためには、健康診断が不可欠

——ペットオーナーへ向けた取り組みとしては、どのようなことを行なっているのですか?

私たちが一番お伝えしたいのは、「生涯にわたってペットの健康に責任を持ち続けることがペットオーナーの役目」であるということです。

動物は言葉で不調を伝えることができません。犬や猫は人間の4倍以上の早さで年をとっていくので、病気の兆候が出てからでは遅すぎることもあります。

早い時期に不調に気づいてあげるためには、ペットオーナー自身がペットの状況を正しく把握できるようになることも大切ですし、定期的な健康診断の受診を通じて健康状態を把握し、適切に専門家のアドバイスを得ることが不可欠となります。

そのための活動のひとつとして、ペットの健康診断を推進する獣医師団体である「(一社)Team HOPE」の活動を、ファウンディングパートナーとして創生期から支援しています。

Team HOPEは賛同動物病院を通じて、ペットの健康状態を把握するために必要な検査項目を全国で統一して行なう健康診断を推進するとともに、SNSを活用したペットオーナーへの啓発も積極的に行っています。

——健康診断はどのくらいの頻度で受ければよいのでしょうか?

私たちとしては、年に2回の受診をおすすめしています。人間でも毎年1回の健康診断を受ける人が多いと思いますが、人とペットの年齢を重ねるスピードの違いを考えれば、年2回という数は決して多くないと考えています。

「病気でないのなら、まだ病院に行く必要はない」と考えているペットオーナーも多いのですが、定期的に健康診断を受けることによって、疾病の早期発見・早期治療だけでなく、予防と健康寿命の延伸につなげることもできます。

現状では、ペットに定期的な健康診断を受けさせているペットオーナーは犬が4割程度、猫においては3割程度にとどまっています。まずは半数を超えることをめざし、健康診断の推進を進めていきたいと考えています。

人とペットの共生のために、もっとも大切なこと

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人とペットの共生の在り方を考えよう
Image: GettyImages

——そのほかに、ペットと幸せに暮らしていくためにペットオーナーが心がけるべきことはありますか?

人の体にとっていいものが、ペットにとってもいいとは限らない」ということは注意していただきたいと思います。

たとえば、テレビの健康番組で特定の栄養素がフォーカスされると、犬や猫にも同様の効果があると考えて、そのまま与えてしまうオーナーさんもいらっしゃると聞きます。

でも、人にとっては有益な栄養素でも、犬や猫には与えすぎないほうがよい、もしくは与えてはならない場合もあります。そもそも人と犬、猫では必要な栄養素や薬物に対する代謝機能が異なります。

そして、このようなオーナーの行動の背景には、必要とする知識をワンストップで得られる場所がないという課題もあると考えています。情報過多なネット時代では、ペットに関する正しい知識を得られる、信頼できる場が必要です。

ロイヤルカナンでは、自社のサイトで栄養学や月齢に応じた推奨行動などに関する一通りの情報を提供したり、正しい知識を得たいペットオーナーさんと犬と猫の専門家を引き合わせる仕組みづくりをしたり、こういった活動にも力を入れたいと考えています。

——人とペットの共生のために、もっとも大切なことは何でしょうか?

「人とペットの共生」というのは、実はすごく壮大なテーマです。一緒に暮らしていれば共生なのか、それとも一定の条件を満たしたら共生といえるのか。その定義は、少なくとも日本にはまだ明確に存在しません。

それでも、人とペットが一緒に生活することで、人に幸せな気持ちをもたらしてくれることはまぎれもない事実です。

そして、ペットと幸せに暮らしていくためには、ペットである愛犬や愛猫が真に健康であることが重要です。ロイヤルカナンとして、そのために必要な情報の提供をこれからも続けていきたいと考えています。


人にとって、生活を共にするペットは人生のパートナーであり、かけがえのない家族です。

自分自身がより幸せに、豊かに生きるためにも、「ペットの健康」をこれまで以上にしっかり考える時代になったのではないでしょうか。

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