暑さのピークは越えましたが、まだまだ寝苦しい夜が続くこのごろ。快適な眠りを得るためには、どういったことに気をつけ、どのようなツールがあればよいのでしょうか。

快眠セラピストとして活動している三橋美穂さんに、心地よい夜を過ごすためのTIPSと、Amazon.co.jpなどですぐ手に入るおすすめの快眠グッズをうかがってきました。

三橋美穂さん

寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。講演、執筆、個人カウンセリングを行うほか、寝具メーカーの商品開発や、ホテルの睡眠環境コーディネートなど、睡眠のプロフェッショナルとして幅広く活躍中。

近著「驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100

公式サイト[sleepeace

体温を放熱できるようにリラックスする

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三橋:夏はとくにそうですが、心地よく眠るためのコツは体温のコントロールにあると言ってよいです。体温には体の表面の「皮膚温」と、中心部の「深部体温」があって、睡眠中は「深部体温」が下がるんですけど、この温度変化がうまくいく環境を整えると、ぐっすり眠れるんです。深部体温が下がると、脳では脳細胞が少し縮んで、かわりに血管の外壁が広がるんです。こうすることで、アミロイドベータ蛋白やタウ蛋白といった、老廃物が排出されるんですね。

深部体温を下げるには、とにかくリラックスして血流をよくすることが大切です。ストレッチでもアロマでも音楽でもなんでもいいです。血流が良くなると一時的に皮膚がポカポカしてきますけど、これは深部体温が下がってきた証拠。この状態で部屋が冷えていれば、深部体温→皮膚温→気温と、スムーズに熱を逃がせます。

反対に、興奮は安眠を妨げます。明るい光やアルコール、タバコ、あとカフェインとかです。冷たいシャワーや冷えた飲み物は少しならいいですが、身体が「保温モード」になってしまって、かえって深部体温が下がらなくなってしまいます。就寝直前に入浴するなら、ぬるめのお湯に短時間だけ入って、体温が上がり過ぎないようにしてください。

エアコンをつけるときは外気温をヒントに

三橋:寝苦しいときなら、冷房はつけっぱなしのほうがいいです。夜が暑くなるかどうかは、時間単位で温度・温度を予報してくれるアプリで確認しておくといいですね。私は「熱中症予報計」というアプリを使ってます。快適な室温は体質や使っている寝具によっても変わりますが、25~27度くらいを快適に感じる人が多いです。

部屋の大きさや空気の流れがありますから、エアコンの設定温度がイコール室温になるわけではないことに気をつけてください。枕元に温湿度計を置いておくと、自分にぴったりの温度を正しく把握できます。

ちなみに、個人差もありますが、筋肉量の差から男性は女性より体感温度が2度ほど高いと言われています。夫婦など同じ部屋で寝るときは、空調は暑がりのほうにあわせて、衣服やタオルケットで調整するといいと思います。

最初に見直すべき寝具はマット

三橋:寝具にもいろいろありますけど、最初に見直したいのは敷きパッドですね。背中の蒸れが、寝付きの悪さや目覚めの大きな原因になるので、通気性のいいものを使うのがポイントです。マットレスパッドの「エアウィーヴ」はいいですし、「サラフ 敷きパッド」はどんな硬さのマットレスにも対応できるので便利です。

あとは、どうやってリラックスできる環境を作るかですね。とくに大事なのは「光」でしょうか。照明を変えるだけでガラっと変わります。

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調光機能つきのシーリングライト。夜は暖色にしたほうがよいとのこと。

白色蛍光灯やディスプレイなど、強くて白い光を見ると人間は活動的になり、電球のような赤みを帯びた光だと、その逆になります。私は部屋の照明を調色・調光機能付きのシーリングライトにして、17時くらいから電球色で、夜は桜色の明かりで過ごしています。

照明とはちょっと違いますが、室内プラネタリウムも気に入っています。遠くを見ると副交感神経が活発になってリラックスできるんですけど、室内で遠くを見るのは難しいですよね。プラネタリウムは遠近感の演出で目が錯覚をおこして、一種の瞑想状態になれるんです。


ライフハッカーでもさまざまな睡眠に関する記事を紹介していますが、体温変化をスムーズにする、という原則は覚えておきたいところ。夜中に目が覚めるというひとは、体温調整を妨げる要素がないか、見なおしてみてください。

(ライフハッカー編集部)