毎日10分に満たないくらいの短時間でも、強度の高い運動をすると健康に役立つという情報はこれまでもお伝えしてきましたが、この説をさらに裏付ける新たな研究結果が発表されました。学術誌「Journal of the American College of Cardiology」に掲載されたこの研究は、男女合計5万5137人(年齢は18〜100歳)を対象としたデータベースを用いて、ランニングの習慣と死亡リスクの関連を調査しました。研究ではまず、テキサス州ダラスにあるクーパー・クリニックおよびクーパー研究所を健康診断のために訪れた人たちに対し、運動習慣に関するアンケートを実施しました。対象となった人たちは、ランニングの習慣はあるか、どの程度の距離をどれくらいのスピードで走っているか、といった設問に回答しました。

研究チームはその後の15年にわたり追跡調査を実施し、アンケート回答者の死亡記録を調べました。すると、ランニングの習慣があると答えた人では、走っていない人に比べて死亡リスクが有意に低下しているのがわかりました。論文のアブストラクトにはこう書かれています:

平均15年間の追跡期間中に、全体で3413人が何らかの原因で死亡しており、うち1217人が心臓血管に関連する死因でした。この調査に参加した者全体のうち、成人の約24%が何らかのランニングを行っていました。走っていない者と比較すると、ランニングの習慣がある者では全死因で30%、心血管系で45%の死亡リスク低下(調整後)が認められ、寿命が3年延びるとわかりました。

研究チームは肥満や喫煙といった要素についても調整を行っていますが、肥満の喫煙者の場合でさえ、走る人のほうが走らない人よりも早死にするリスクは低かったのです。

さらに重要なのは、それほど速くないペースのランニング(時速10km以下)を1日5〜10分こなすだけでも、早死にや心臓病のリスクの低減につながるという点です。

この研究論文の共著者であるTimothy Church氏は、米紙「The New York Times」の取材に対して、おそらくランニングそのものに効用があるというよりは、強度の高い運動を行うところに意味があるのだろうと述べています。

これまで走る習慣がなかった人、あるいは健康に問題を抱えている人は、当然ですが、ランニングのプログラムを始める前に医師に相談するべきだと、Church氏は述べています。また、5分間しっかり走ってみたあとに、走るのが楽しくないと感じたら、別のメニューを試してみたほうが良いそうです。縄飛びでも、エアロバイクを全力で漕ぐのでも良いでしょう。負荷がかかる運動なら、種類は何でもかまいません。5分間だけ、頑張ってきつい運動をするだけで、寿命が何年か延びるかもしれませんよ。

要するに、長生きしたいのなら、言い訳は無用です。今すぐ運動をしましょう! 長い時間をかける必要はないのですから。

Leisure-Time Running Reduces All-Cause and Cardiovascular Mortality Risk|JACC via The New York Times

Melanie Pinola(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

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