こんにちは。「福岡移住計画ラジオ」DJの市來孝人です。このラジオ番組では「福岡に実際に移住した人」「福岡に移住して一緒に働きたくなるような、地元の面白い人」というコンセプトでゲストをお迎えし、福岡・天神にスタジオを構える「COMI×TEN」にて第1・第3日曜日の16時よりお届けしています。
私は普段は東京を拠点にしているのですが、東京に住んでいても活気のあるニュースがたくさん耳に入ってきていた福岡で、「ラジオを起点にして、その地域の盛り上がりを伝える」取り組みをしてみたいと思い、昨年の10月よりこの番組をスタートさせました。
また、以前アメリカ西海岸に少し住んでいたこともあるのですが、初めて福岡を訪れた時の水辺の景色が、西海岸の水辺の景色にシンクロする感覚がありました。
「ひょっとすると福岡は、日本の"西海岸"的な存在になり得る?」という直感も、番組をやりたいという思いを後押ししました。ちなみに、ラジオ番組内の曲もアメリカ西海岸のブラックミュージックがかかるFMステーションをイメージした選曲にしています。OA時は局のTuneInチャンネルで全国から聴取可能ですし、「福岡移住計画」サイトでのテキストコンテンツ化も予定しているので、よろしければ、チェックしてみてください。
元々縁もゆかりもなかったけれど、「面白そう」と思い関わるようになった福岡。実際にラジオ番組の企画・出演を通して様々な方のお話を伺う中で、「福岡って面白そう」から「なぜ福岡が面白い」のが徐々に見えてきました。今回は前編・後編の2回にわたって、これまで私が聞いた、感じた、福岡の面白い人の声、場所の面白さをお伝えします。前編は市街地から少し離れた「糸島を含む海辺」、後編は「福岡市街地」というイメージでお届けします。
PR会社勤務を経て独立後、東京を拠点にラジオDJ・ナレーター・ライター・PRプランナーとして活動中。「ラジオを拠点に、地域を盛り上げる」取り組みをしたいと考え、福岡のローカルFM・COMI×TEN「福岡移住計画ラジオ」を企画し、DJとして出演している。XFM日本語ラジオ番組「FM 96.3 SMILE WAVE」(シンガポール)レポーターとしても出演。「PR Table」では「福岡移住計画ラジオ」番組立ち上げの経緯を連載中。
福岡における移住情報の発信と、仕事創出をサポートする「福岡移住計画」。
まず紹介するのは、番組名にもなっている「福岡移住計画」。ウェブマーケティング会社「スマートデザインアソシエーション」の代表取締役であり、自らも移住経験者である須賀大介さんが中心となって行っている活動です。Facebookページや、東京や大阪など他地域でのイベントを通した情報発信、福岡市主催の「ぼくらの福岡クリエイティブキャンプ」(2カ月間実際に福岡に住みながら、現地のクリエイティブ企業で働くことが出来る)の運営や、国内最大のクラウドソーシング「ランサーズ」との提携など、現地での仕事創出支援を行っています。上述の「福岡移住計画ラジオ」も、この「福岡移住計画」情報発信の一環として、須賀さんと一緒に企画しています。須賀さんが「福岡移住計画」を立ち上げようと思った理由は、どのようなものだったのでしょうか。
実際に移住してみて思ったのは、福岡は、「こういうことをやりたいんだ」「ならばこの人を巻き込もうぜ」と、時にお酒も交えながら、ラフに仕事の話をしながらプロジェクトを生み出していくので、ものすごくプロジェクトのチームビルディングがやりやすいです。また生活面では、福岡は都市機能も充実していながら、自然も近いことが良いですね。今、住んでいる糸島も中心部から電車で30分くらいなのにきれいな海や山があって。そこで子どもたちを自由に遊ばたり、地域の大人たちも自分の子どものように関わってくれる。そんな中でうちの子供は強くたくましくなっていったので、すごく良かったですね。
須賀さんは自らの住む糸島エリアを拠点に、移住希望者を生活面でも支援すべく積極的に移住希望者を受け入れる「トライアル・ステイ」を実施しています。
自然豊かな糸島にある「RIZE UP KEYA」は、「トライアル・ステイ」ができる「コワーキングスペース」
今年1月に糸島半島の先端、糸島市内の芥屋エリアに本格オープンした「RIZE UP KEYA」。この場所が今後は「トライアル・ステイ」の拠点となっていきます。移住者が集い、コワーキングスペース、イベントスペース、カフェ、様々な用途で活用されていく、そんな移住者同士を繋ぐハブのような場所になる予定です。この「RIZE UP KEYA」の広報部長・畠山千春さんも、元々関東で映画配給事業を行う会社で働いたのちに、福岡に移住して新米猟師となった経歴の持ち主です。
現在はコアメンバーとしてこの施設を一緒に良くしていく、第一期のコワーキングメンバーを募集中(月額4,500円)。ウェブ・建築・料理など様々な領域の方がすでに登録しているそうです。また、コワーキングメンバーとしての利用のみならず、カフェとして気軽に利用することも可能です。「RIZE UP KEYA」内のショップインショップとしてスペシャリティドリップコーヒーのお店「BLACK SHEEP」マスターとして活躍している中村さんも、2014年12月に東京から移住してきたばかり。コーヒーで、九州で独立するための場所を探していた中村さんは、まずは土・日・月・火限定の試運転の場所として、「RIZE UP KEYA」を活用しています。その人の得意分野を活かしながら移住を支援して、その場所から仕事を生み出そうというのが、「RIZE UP KEYA」らしい取り組みだなと感じました。
都市と自然のバランス、人付き合いの良さ。福岡は、アメリカでいう"西海岸"的存在。
糸島に在住しながら外資系ベンチャー企業で勤務している加藤美帆さんも、「RIZE UP KEYA」のヘビーユーザーのひとりです。前職のIT企業では長期出張が多く、サンフランシスコでの仕事・生活の期間が長かった加藤さんが、福岡に移住を決めたのは「日本で、最もサンフランシスコの雰囲気に近い場所」だからだそうです。
続いてご紹介するのが「福岡×移住」のトピックで、さまざまなメディア・イベントで情報発信を実施し、「福岡×移住」のアイコン的存在ともいえるのが、スマートフォンアプリ、ウェブサービスの開発を行う「ウミーべ」の代表取締役のカズワタベさんです。カズさんはオフィスを福岡の海辺に構える構想があるそうで、福岡とシリコンバレーという観点から、共通するところを語ってくれました。
街としてのコンパクトさ、自然の豊かさ、生活する人々のメンタリティなどが、アメリカ西海岸エリアと福岡との共通点のようです。そして実は、行政の面でも福岡とアメリカ西海岸は関連があります。政府が進めている国家戦略特区「創業特区」として選ばれた福岡市が積極的に視察を行ったり、ベンチマークしているのが、同じく西海岸の都市・シアトルなのです。行政の立場から「ニューヨークのような都市ではなく、シアトルのような都市を目指す」とメッセージを発信する理由は何なのか? この点は、第二回目の記事でじっくりご紹介しますね。
外国人アーティストを受け入れて、福岡での創作活動を支援する「Studio Kura」。
福岡の海辺では、アートでも面白い取り組みを行っている方がいます。美術教育事業として絵画教室を開いたり、自らも創作活動を行っている「Studio Kura」松崎宏史さんが、糸島市の二丈エリアで新しい試みを始めました。これは、ギャラリーに毎月海外から約4名のアーティストを招いて滞在・制作をしてもらう「アーティスト・イン・レジデンス」というものです。「アーティスト・イン・レジデンス」の構想が生まれたのは、松崎さん自身がドイツに留学していた時の経験が大きいそうです。
では、糸島や福岡を、外国のアーティストの方はどんな土地と感じているのでしょうか。
ギャラリーだけにとどまらず、地域全体での受け入れ態勢を整えている松崎さん。今では外国人の方が買い物に行くとパスを見せる間もなく、地元のお店の方も「あそこのギャラリーの人だね」と分かるほどだそうです。ドイツでITOSHIMAというタイトルの写真集が出たり、ニューヨークのアートフェアで作品が発表されたりと、ここで生まれた作品を通して、各国で様々な形で福岡の魅力が伝えられているようです。
今回の記事では福岡市の中心部から少し離れた海辺のエリアを中心に、福岡の今をお届けしました。次回は、福岡市の中心部をイメージし、「創業特区」としての行政面でのサポートや、福岡に拠点のある企業で働く社員さんの声など、福岡の市街地での仕事・生活、両面についてご紹介します。
(文/市來孝人、編集/松尾仁)