信じるかどうか分かりませんが、日々瞑想するだけで集中力は高められます。お香やヨガパンツがなくても、「チャクラ」なんて言葉を使わなくても、ただ呼吸をするだけでいいのです。

 今なぜ瞑想なのか?

忙しい毎日を送っている人なら、瞑想をすることで、その時自分がやらなければならないことから、自分の心をいかに素早く、いかに遠くへと離れられるかが分かると思います。マルチタスクが求められ、スケジュールは異常に過密で、インターネットですぐに気が散ってしまうような時代に生きる現代人には、瞑想はかなりの助けになるでしょう。これは単なる気の持ちようではありません。瞑想は、実際に脳の集中力を高める「筋肉」を鍛えるエクササイズ(英文記事)です。また、瞑想を実践した大学生はストレスが軽減し、以前より寛容さが見られました

筆者は、瞑想の先生でも何でもありません。1年ほど前から自宅で瞑想をやり始め、ここ数ヶ月は何人かのグループで瞑想をしているだけだそうです。初心者に毛が生えたくらいとか。これまで筆者は、ただ自分の心を見つめて落ち着こうとしているだけでしたが、ここ最近は、特に宗教的ではない人間にとって、瞑想が「なぜ」、「どのように」効果があるのかということに興味が湧いてきたそうです。ただ、心を落ち着かせることの効能や、自分の心の動きや呼吸を時間を掛けて観察することについての考察を、ほんの少しでもシェアできればと思っているとのこと。

ちなみに、多くの人が、瞑想というのはヒンズー教や仏教の、宗教的な慣習と切っても切れないものと思っているかもしれません。もちろん、宗教的な慣習の一つとして瞑想はありますが、だからと言って瞑想=宗教ではありません。ヨガと同じような感じです。偏見を捨てて、オープンマインドで試してみてください。

●必要なもの

無し:冗談ではなく本当です。ただ、今何が起こっているのかということに集中すればいいのです。心を落ち着かせて、自分の呼吸を観察します。横になっても、椅子に座っても、あぐらをかいても、何か道具を使っても、リラックスできればどんな体勢でも構いません


●あるといいもの

静かに落ち着ける場所:特に初心者の場合は、五感の気を散らすものがなく、静かで落ち着ける場所の方が瞑想しやすいです。目を瞑る場合は、視界に何が入ろうと関係無いと思うかもしれませんが、残像が残ったり、頭の中にイメージが残っていると落ち着きません。音が一番気が散るので、音楽や騒音はもってのほかです

座るための道具:座禅用の座布、座布団、写真のような正座補助椅子など。蓮華座や胡座、正座で長時間座れない人は、どんなものでもいいので、楽に座れる道具や体勢を整えましょう。座り方については「Zen Meditation Instructions」(英文)も参考にしてみてください。


■瞑想の基本:呼吸を観察する

瞑想にはたくさんの方法があります。一見矛盾するような方法もあり、例えば「目を開けて何か一つの物をじっと見ながら、軽く音楽を聴く」という方法もあれば、「目を閉じて何も考えない」という方法もあるのです。自分がよりリラックスできそうだなと思う方法を選んでいいですが、静かに呼吸を観察するのが一番一般的な瞑想方法です

ティク・ナット・ハン氏の『マインドフルの奇跡』には、瞑想の背景にある思想や実践方法があります。体をコントロールしている心が、いかに呼吸と結びついているか、深い事例が紹介してあります。呼吸を意識的に観察していると、いわゆる無の境地のような静寂の世界へと導かれていきます。簡単に言うと、自分が今一番大事だと思っていることに集中でき、どうやってその大事なことについて取り組むべきかが分かるようになるのです

以下は、ティク・ナット・ハン氏の「マインドフルの奇跡」より抜粋です。

瞑想するために座り、呼吸を観察し始めます。最初は呼吸も普通の状態でしょう。呼吸を徐々にゆっくりにしていき、落ち着いた状態にします。呼吸の長さはかなり長くなるでしょう。座ってから、呼吸が深く静かに整えられるまで、自分の内面で起こっているすべてのことに意識を向けます

座って呼吸を意識するだけと思いきや、言うは易し行うは難しです。呼吸に集中し始めて、上手くいき始めたかなと思った時に「スーザンからメールの返事が来なかったら遅れるかもしれないから、ランチ代を払っておいてとダンに言うのをすっかり忘れてた!」なんてことが頭に浮かんできたりします。そのような場合、ティク・ナット・ハン氏は以下の方法を勧めています。

呼吸に集中すると言っても、最初は難しいかもしれません。そういう時は、呼吸の数を数えましょう。息を吸って吐いた時に「1」と、心の中で数えます。もう一度吸って吐いた時に「2」。これを「10」まで続けたら、また「1」に戻ります。数を数えることが呼吸に注意を向ける手助けとなります。数えながら呼吸に集中する練習を続けていけば、段々と数えなくても集中できるようになります。ただ、集中していない時にも数を数え忘れたり、数え間違えることもあります。そういう時は、いつでも「1」に戻って最初からまた数え始めて、正確に数えられるまで続けましょう

ティク・ナット・ハン氏は、呼吸の数を数えることは瞑想で心を静めたい時以外にも、どんな場面でも使えると言います。実際、これから人前で話さなければならないという時や、月曜の朝に、おびただしい数のRSSを読まなければならず凹みそうになった時、一度に色々な問題が起こって、何か意見を言ったり指示を出したりしなければならない時など、このやり方は助けになります。

■お経を唱える、ガイド付きの瞑想、その他の瞑想の方法

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Photo by Theresa in MS.

「HowStuffWorks」に、瞑想を始めるにあたっての、よくまとまった説明がありました。その一部を以下に要約しました。

瞑想のインスピレーションを探す

東洋のスピリチュアルな思想に影響を受けているなら、仏像を頭の中で繰り返しイメージしてもいいかもしれません。他には、お花や水晶など、自分が瞑想をインスピレーションしやすいものであれば、何でも構いません。頭に思い浮かべると、すぐに心が落ち着いて平穏な気持ちになるものが最適です。


お経(マントラ)を唱える

お経を唱えることは、身を守るような意味合いがあります。スピリチュアルな力も、お経を唱えることで守られます。また、お経を唱えている時は、呼吸やエネルギーがチャージされているとも言われています。自分の気に入ったお経を選んで、伝統的に数珠を身に付けて唱えてみましょう。チベット仏教の信者は、平和と癒しのためにお経を唱えます。


ガイド付きの瞑想をする

ガイド付きの瞑想をするということは、イメージを思い浮かべることと同じようなものです。自分の現実的な目標に対する直接的なイメージへと集中するための、とても強力なテクニックとなります(例えば、ダイバーが潜る前に「完ぺきな潜水」について思い描くような感じです)。


お経を唱えたり、他のものを使った瞑想へと導く方法はたくさんあります。Webサイトでも有料・無料で自由に手に入ります。それらを使って瞑想すると、混乱せずに集中しやすくなります。

zencast.org」には、基本的な瞑想や静観への導入のためのポッドキャスト(英文記事)があります。どんなレベルの人にでも、瞑想の教えとなるような素晴らしいソースがあります。ほとんどが、すべての信仰や伝統を重んじる心から提供されているものです。

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中でも、米Lifehackerが読者が特に興味がありそうなのは、瞑想タイマー&リマインダーでしょう。最初のセットは、Flashベースのダウンロード可能なオーディオファイルで、瞑想している間の助けになるものです。2番目のセットは、Windows/Mac/iPhone版があり、何かに集中することを思い出させるため、もしくは気が散っていたら集中するために、ベルや音が鳴るようになっています。デスクワークでパソコンに向かって働いている人には、単に集中力を鍛えるのに便利なツールはたくさんあります。

もっと具体的な瞑想のテクニックであれば、Ryan Irelanの「不眠症を解消するための『ブルーエナジー』テク」や「暗い部屋で10分過ごす瞑想テク」(ともに英文記事)などが、仕事中の昼休みやちょっとした休憩に役立つと思います。

ここで紹介した瞑想の方法は、あくまでもテクニックに過ぎません。これらを実践してはじめて、心が平穏になったり、集中力や問題解決力を高められます。最初からは上手くいかないかもしれませんが、まずは座って、呼吸に意識を向けることから始めてみましょう。

Kevin Purdy(原文/訳:的野裕子)