2014年12月15日、ライフハッカーは富士通が取り組む「あしたのコミュニティーラボ」と共催で、学生を対象にしたトークイベント「ぼくらの仕事のつくり方 ~これからの"働く"を考える」を行いました。盛況で終えたこのイベント、実は「あしたのコミュニティーラボ」が2014年秋からスタートした"学生と社会人の共創プロジェクト"である「あしたラボUNIVERSITY」とコラボレーションしたものでした。

あしたラボUNIVERSITYは「富士通グループの技術と学生がもつアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す」ことを目的に、約4か月間にわたって進められました。トークイベント、大学での出張授業を経て、次に行われたのがアイデアソン「あしたのまちHack」。関東地区(2月19~20日)、関西地区(2月26~27日)に分かれ、「私のまちの魅力を100倍にする!」をテーマに、両会場で合計22のアイデアが披露されました。アイデアはいずれも、ICT(情報通信技術)を利用して、自分にゆかりのある「まち」の課題を解決し、もっと住みやすく、もっと魅力ある場所に変える製品・サービスとは何かについて、考えられたものばかり。

本日より4日間連続で、白熱したアイデアソン、そして決勝プレゼンの様子をお届けします。まずは関東・関西大会の総括編として、以下「あしたのコミュニティーラボ」のこちらの記事より、再編集して転載します。

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アイデアソン「あしたのまちHack」は、東西それぞれの会場に大学生・大学院生・専門学校生約40名と、各地域で働く富士通の若手社員約20名が集まりました。学生・社会人の枠を超えてつながり、価値観やアイデアをぶつけ合うことで、新しい価値創造のプロセスを体験した様子をダイジェストでお伝えします。

課題自体に共感がなければ、アイデアは評価されない

今回のアイデアソン「あしたのまちHack」のテーマは「私のまちの魅力を100倍にする!」。富士通株式会社の新しいかたちのインターンシッププログラムとしても開催された「あしたラボUNIVERSITY」特別企画として、"社会課題を解決する仕事づくり、富士通社員と一緒に体感しませんか?"と全国の学生に呼びかけ、実施されました。

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まずはグループになって自己紹介(関東会場)

ファシリテーターを務めたのは関東・関西両大会とも、富士通総研 チーフシニアコンサルタントの佐々木哲也さん。今回のアイデアソンの背景には「これまでにない仕事づくりの実践」があったと言います。

佐々木:このアイデアソンは学生と、社会人とが一緒になって学び、身近な課題を解決したり、新しい価値をつくる体験を通じて、これからの「働く」を考える『あしたラボUNIVERSITY』の核になります。社会課題が複雑化し、1対1では答えが出せない現代において、一人ひとりが課題にどう関わり、コミットしていくかがとても重要になってきます。今回は、日常の「まち」から課題を見つけ、それを異なる立場の学生と社会人が共創し解決策を導きだしていくことで、「これまでにない仕事づくり」を実践できるのではないかと企画しました。多様な価値観・背景をもった人と一緒にアクションしていくことはこれからますます当たり前になります。いろんな人と共創、ネットワーキングしてその片鱗を掴めたらと考えました。

さらに、佐々木さんが「もし何かひらめいたら、首にさげてもらっているコレを『ピコーン!』って上げてくださいね」と手にしたのは電球型ネームプレート「IDENQ」。

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IDENQは形のユニークさもあり、会話のきっかけになった(関東会場)

IDENQは富士通デザインのデザイナーである川又慧さんが開発し、先行して公開したコミュニケーションツール。参加者はIDENQについた紐の色(学生=黄色、富士通=青色)で所属がわかるようになっています。1日目の午前中はキーノートの時間で、各会場では富士通の社外ゲスト2名、富士通社員1名が登壇。

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キーノートでは実践者の興味深い話に笑みがこぼれる(関西会場)

午後からさっそくワークがスタート。多くの学生にとって"初体験"となるアイデアソンですが、佐々木さんはその注意点として、次のように伝えました。

「奇抜なアイデアを考えることももちろん重要だけど、起点となるのは"課題設定"。課題自体が共感されていないと、後々のアイデアも評価されないものです」

地域課題は「ワーク」で浮かび上がってくる

その言葉どおり、アイデアソンでは、まちの課題発見に十分な時間がとられました。<課題地図を作ろう>は、自分のまちの「好きなこと」「困っていること」を付箋紙に書いて日本地図に貼り付けていくもの。<まちの課題を発見する>のワークでは、4名1組のチーム内で互いの「まちの課題」をアピールし合い「チャンプ課題」を決めました。

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課題地図をつくると、集まった参加者の分布がよくわかる(関東会場)

会場には、地域の課題が浮かび上がった「課題地図」「チャンプ課題」「アイデアカメラ」の成果が掲示され、参加者は、会場の全員で発見した「まちの課題」をあらためてじっくりと見てまわり、この後のアイデア発想に備えました。

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会場をフルに使い、アイデアカメラを実施(関東会場)

短時間でアイデアを深めるための7つのステップ

今回、ワークは次の手順で行われました。

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4の「スピードストーミング」後、各自が課題を設定し、それを解決するアイデアを出していきます。佐々木さんは「アイデアをストーリー化してみたら、説明すればするほど苦しくなることがあります。それはユーザーに共感されていないから。明日のワークでそれをブラッシュアップしていきましょう」と呼びかけます。1日目の終了後には、メンバーで作戦会議に出て行くチームも見受けられました。

150413ashita_lab_univ_1_9.jpg (左上)スピードストーミング、(右上)アイデアスケッチ
(左下)チーミング前のプレゼンテーション、(右下)ラピッドプロトタイピング前のディスカッション

フィードバックの結果、既存サービスが存在していることなどから、実現が不可能だと判断したチームは、新しいアイデアを練り直したようです。ともあれ、上記で行ったプログラムはトータルで4時間にも満たないワーク。時間内でアイデアがかたちになり、人に伝える段階にまで仕上がったことに参加者は驚いた様子でした。

関東・関西両会場で、22のアイデアがお披露目

2日目は約5時間をかけてアイデアをブラッシュアップし、プレゼンテーションの準備を進めます。プレゼンテーションに与えられた時間は3分間。両会場で合計22のアイデアが披露されました。出揃ったアイデアは以下の通り。

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各エリアで最優秀賞、優秀賞を受賞した計4チームは、3月9日に東京で開催される成果発表会に進出。(※各エリアの様子、成果発表会のレポートは、明日より順次公開していきます)

これからの働き方を考えるきっかけに

「あしたのまちHack」は、富士通のインターンシッププログラムという位置づけでもありました。とはいえ、単に社会人が学生に何かを教える"紋切り型"のイベントではなく、働き方が様変わりする社会環境のなか、学生のみなさんに「これからの仕事づくりはどんなものだろう?」と感じてほしい、という狙いがありました。

出張授業を縁に「あしたのまちHack」関西大会に参加した大分大学の前田さんは、アイデアソンを終えて次のように話しました。「ふだんから田舎の地域課題に気をかけていたけど、都会でもこんなに課題があるなんて知らなかった。大分にいるだけじゃわからないことがたくさんわかって良い刺激になりました」

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(写真右)大分大学から参加した前田瑞貴さん

一方、学生と同じ時間・場所を共有することで、富士通グループの社員にとっても、新しい気づきがもたらされたようです。普段は自治体へのビジネスを担当するという、富士通株式会社 行政システム事業本部 塚田光希さんは「いつもは"やらなきゃいけないこと"を単に仕事としてやっていたけど、市民の幸せまできちんと考えていなかったのかもしません。お客さまだけじゃなく、国民も幸せにする、そんな働き方を考えるきっかけになりました」と話します。

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関西大会は参加者と審査員の距離が近く、笑いが絶えなかった

アイデアソンでの、ほんの2日間の新体験。「まち」に対するさまざまな価値観をぶつけあい、新しい「もの」をみんなで形づくった時間は、参加した学生や若手社員のみなさんにとって、大きな心の糧になったのではないでしょうか。今回は、関東・関西2カ所、延べ4日間にわたって行われたアイデアソンの概要をお伝えしました。明日は、関東大会のチームからどのようなアイデアが出たかなど、おおいに盛り上がったキーノートやワークの様子をお届けします。

あしたラボUNIVERSITY|あしたのコミュニティーラボ

(ライフハッカー[日本版]編集部)