これまでライフハッカーではビジネスに役立つノウハウを数多く紹介してきましたが、ビジネスを推進する仕事術は、自己啓発本や先人の経験などから生み出されているだけではなく、意外な体験から導かれることもあります。
今回、トヨタのハイブリッドカーに試乗し、環境に配慮され、経済性にも優れたエコドライブ(以下、エコドラ)の運転操作を教えてもらうなかで、「これはビジネスにも役立つのではないか...」という共通点が見つかりました。
結論から先に言ってしまうと「エコドラがうまい人は、ビジネスにおいても目的に向かって適宜対処でき、スムースにたどり着くことができる」ということです。
この共通点は、交通心理学の専門家であり「運転と日常の行動はよく似た傾向がある」と語る、帝塚山大学副学長の蓮花一己氏に取材したことで、よりはっきりと見えてきました。
では、エコドラを上手に行う4つのコツが、いかにビジネスに役立つのか? エコドラできない人の心理分析と、リスクを回避してビジネスにいかす方法を探っていきます。
インタビュイー・プロフィール/蓮花一己(れんげかずみ)
帝塚山大学副学長、同大学心理学部教授。交通心理学の専門家として、ドライバーの運転行動や事故多発地点の分析、子どもや高齢ドライバーへの教育手法の開発などの研究を行っている。日本交通心理学会副会長、一般社団法人交通科学研究会会長。
エコドラでの発進は「ふんわり」、ビジネスのスタートは「冷静かつ客観的に」
ハイブリッドカーは、モーター(エネルギーは電気)とエンジン(エネルギーはガソリン)の2つを動力にしています。低速域の効率に優れたモーターと高速域の効率に優れたエンジン、それぞれに得手不得手があるので、特性を活かしながら使い分けるドライビングテクニックが重要です。
発進時はブレーキペダルから足を離し、クルマが少し進んだ後にアクセルを"ふんわり"と踏み、ガソリンを使うエンジンではなく、電気で走るモーターでEV走行します。
では、急発進などエコドラではない運転をするドライバーにはどのような心理が働いているのでしょうか?
ビジネスは自分だけの考えや価値観で物事を推し進めることはできません。独りよがりや自己満足でビジネスをスタートするとすぐに問題点が露呈して、リスクを抱える大きな要因にもつながります。自分を客観視して冷静な行動ではじめることが重要です。そして、「慣れによる過信」にも運転同様に気をつけなければなりません。
エコドラでの加速は「すみやかに」、ビジネスの加速には「目標設定と自律が肝心」
ゲージの目安はPWR(パワー)の手前いっぱいまで
クルマを発進させたらアクセルをやさしく踏んで、時速20kmくらいまで加速します。その後、さらにアクセルを踏み、エンジンの力強い動力を活用して"すみやかに"目標の速度まで加速させます。ここで気をつけたいのは、ガソリンを使わずモーターの力だけで、いったん時速20kmくらいまで上げた後に再加速させることです。
いきなり強くアクセルを踏んで速度を急に上げてしまうと、エネルギーを無駄に消費してエコドラにならないだけではなく、安全面でも大きなリスクを抱えて走行することになります。
タクシードライバーの方から伺った事例ですが、急いで目的地まで行き、次の客を見つけてさらに急いで走っている場合と、ゆとりを持って運転している場合を比較したら、売上に大きな違いはなかったそうです。逆に、落ち着いて運転していると精神的に楽なので「急いでもよいことはない」ことを実感したようです。
ビジネスに勢いは大事ですが、急加速ばかりではリスクやイライラも抱えてしまいます。そして、その場しのぎでは何の意味もありません。あらかじめ目標を設定して、そこへ向かうために持っている力を無駄なく注ぎ込めるように自律することが大切です。そうすれば、次のアクションに備えながら、確実に目標に近づけるはずです。
エコドラでの通常走行は「じわっと」、ビジネスを円滑に進めるには「継続力とセルフ・トーク」
アクセルを"じわっと"踏んで、ゲージはメーターの四分の一くらいを目指して
加速させ目標の速度に到達したら、エンジンからモーターに動力を切り替えるためにアクセルを一度完全に戻して、その後に"じわっと"踏み、ガソリンを1滴も使わないようにEV走行を継続します。
そんなときは最近勧められている「セルフトーク」が有効です。例えば「彼は急いでいたんだろう」「そういう人もいるんだ」とつぶやいて、心を静める方法です。
「継続は力なり」の言葉のとおり、ビジネスにとって安定した継続力や持続力は欠かせません。しかしときにはアクシデントにつまずきそうなることもあります。そんなときは、否定的な感情から肯定的な感情へと気持ちを切り替えるためにもセルフ・マネジメントの1つの方法として、ポジティブなセルフトークを活用してみましょう。周囲の状況に乱されず、精神的に安定を保ち、次のアクシデントに対応する余裕を持ちましょう。
エコドラでの減速は「早め・ゆるやか」、ビジネスでのリスク管理は「俯瞰した事態予測」
"早め・ゆるやか"な減速で、ハイブリッドシステムインジケーターでもチャージを確認
安定走行中に信号などの状況により減速する場合は、早めにブレーキを踏み、長い距離かけて減速をします。減速は"早め・ゆるやか"が鉄則。これは安全を確保するためだけではなく、ブレーキを踏んだ際のエネルギーを電気に変換する「回生ブレーキ」というシステムを上手に活用できるからです。長い距離をかけてブレーキを踏むと、効率よくエネルギーを変換し、バッテリーの充電量を増やすことができるのです。
また、早めのブレーキを意識しながらエコドラをしていると目線が遠くなり視野が広がることで、周囲の状況を先読みできるため、急ブレーキが減り、同乗者の乗り心地も改善されます。
ビジネスでは自分だけでは解決できない問題が襲いかかってくることがあります。ではどのようにして回避すればよいか? それは常に事態を予測してリスクの目を摘んでおくことです。ビジネスの進捗に合わせて現状の把握と確認を近視眼ではなく、俯瞰的に繰り返し行うこと。
手間はかかりますが、目的を達成するためには時間の浪費や効率の低下を避けることもでき最善の方法です。また、イレギュラーな問題を突きつけられたとしても、冷静に対処することができます。
エコドラをもっと楽しく、効果的にするには
さて、エコドラと仕事術の意外な共通点について紐解いてきましたが、ここからは、エコドラ体験でもうひとつ実感したトヨタのハイブリッドカーの魅力についてご紹介しましょう。
アクア:コンパクトで小気味よい走りを魅せる低燃費ハイブリッドカー
トヨタのハイブリッドカーのなかでも燃費が1リットルあたり37.0km(※)とナンバーワン。広い室内空間は、2014年12月にエクステリアとインテリアが材質や質感を大切にアップグレードされました。ボディカラーが全14色あり自分好みの1台を選べるのも人気の秘密です。
※JC08モード燃料消費率(国土交通省審査値)。X-URBANおよびオプション装着により車両重量が1,090kg以上の場合、33.8km/Lとなります。プリウス:世界の街で341万台以上が走るハイブリッドカーの先駆者
1997年のデビュー以来、「低燃費」「走行性能」「低排出ガス」「静粛性」のすべてにおいて進化を続けるハイブリッドカーのパイオニア。全世界、累計販売台数は341万台以上(※)。空力性能を追求して燃費を向上させ、高い走行安定性を実現するなど、ハイブリッドシステムだけではない先駆者としてのこだわりが随所に散りばめられているのも特長のひとつです。
※2014年12月末時点 トヨタ調べプリウスα:5人乗りと7人乗りが選べ、多彩なシーンで活躍する"スペースデカ"プリウス
プリウスαの最大の特長は、圧倒的な広さのラゲージスペース。荷物はサイズや形に合わせてフレキシブルにシートをアレンジすれば多種多様に積むことができるので行動範囲が大きく広がります。もちろん、7人乗りの3列シートであっても日本人の平均的な身長である170㎝の人がゆったりと座れるので家族揃って快適なドライブが楽しめます。
試乗中に"エコドライブマスター"ことインストラクターの山口礼さんからエコドラの秘訣について話を聞きました。それは、「モーターでのEV走行に必要な電気がブレーキのときに充電されている」と意識すれば、長めのブレーキをするようになり、安全な走行とハイブリッドカーの特性を活かせるということでした。
ここで紹介したアクセルとブレーキの的確なペダル操作、ビジネスの局面での対処法はもちろんですが、エコドラもビジネスも、どのような意識を持って臨むかで結果は大きく変わります。目先のことにとらわれることなく、広い視野と高い意識で前へ進んでいきましょう。
FUN TO ECO-DRIVE|トヨタ自動車
トヨタ カーラインナップ | トヨタ自動車
(文/ 香川博人 写真/田所瑞穂、香川博人)