2015年2月16日、個人事業主に欠かせない年に1度の恒例行事「確定申告」の申告書の受付がはじまりました。2014年1月からすべての白色申告者に対して記帳と記録保存の義務が適用されて以来、白色申告から青色申告へシフトしている個人事業主が増えていますが、簿記の知識が浅い初心者の皆さんは青色申告特有の帳簿や決算書の作成に手をこまねいているのではないでしょうか?

そこで、簡単・便利なクラウド型の確定申告サービスのなかから会計ソフトの老舗会社として信頼が厚い「弥生」が提供しているクラウド会計ソフト「やよいの青色申告 オンライン」をピックアップ。

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いまからでも間に合う申告書類の作成や記帳の方法などを税理士の冨永英里さんに実際に試用してもらい検証。多くの企業の税務相談やコンサルティングを行っている経験をもとに、デキる個人事業主になるための活用方法についても聞いてみました。

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冨永英里(とみなが えり)/税理士

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北海道出身。立教大学大学院法学研究科博士前期課程民刑事法専攻修了。1995年に税理士登録、1998年に独立開業。東京税理士会所属。「愛と絆」を信条とし、1000人以上の成功・失敗した社長を見てきた経験から、会計や税務のアドバイスだけではなく、講演やセミナーなどに登壇。さらには会社経営がうまくいくための社長カウンセリングも行い、社長を数字と心の両面からサポートしている。著書は『なぜ成功社長のサイフは薄いのか?』(フォレスト出版刊)ほか26冊を手掛ける。

青色申告のメリットは、所得控除や税制上の優遇だけではない

まず、青色申告の主なメリットを確認しておきましょう。

  • 10万円もしくは65万円の特別控除が受けられる。
  • 家族の給与を全額経費にすることができる。
  • 30万円未満の固定資産を全額経費にすることができる。
  • 赤字の繰越や貸倒引当金の計上ができる。

※65万円の特別控除の場合は「複式簿記」、10万円の特別控除の場合は「簡易簿記」による帳簿作成が必要。

確定申告は、1年分の所得額と所得税を計算して申告する作業ですが、課税される所得は「収入−必要経費−各種の控除」で計算されるので、経費や控除で優遇されている青色申告は、所得税を節税できるメリットがあります。また、1年分の所得額を元に算出される住民税、さらには住民税を基にして計算される国民健康保険料を抑える効果もあります。

ただ、冨永氏は、青色申告を単なる節税として捉えるのではなく、長期的視野で考えるべきだと言います。

冨永氏:青色申告は短期的に見ればさまざまな制度を利用して節税ができるメリットがあります。でもせっかく個人事業主として起業したのであれば、3年後、5年後に自分が何をしているのか。ビジネスや人生のプランを考える長期的な視野に立って考える機会として青色申告を捉えることが大事です。

単に節税したいから青色申告にしようとか、面倒くさいから白色申告でいいと考えている人は、ビジネスを成長させたいと考えていても結局は平行線を辿っているのが現状です。また、事業主としての青色申告は経理上では会社とほぼ同じ作業をしているので、起業家として成功するため、法人化へ向けたステップとして考えてよいでしょう。

ところが、青色申告をするには「簿記」という小難しい障壁があります。でも「やよいの青色申告 オンライン」なら自動的に解決してくれるので、税務署に提出する決算書の作成がとても簡単にできます。これまでの手間を省力化して、誰もが青色申告をできるようにハードルを下げてくれているので活用しない手はないですね。

質問に答えるだけで申告書類を作成・印刷・提出

個人事業主にとってなぜ青色申告のハードルが高いかというと「青色申告決算書」の内容である「損益計算書」と「貸借対照表」という書類を作らなければならないからです。この書類作成には簿記や会計の知識が必須で、そのためあきらめていた人も少なくありません。

ところが「やよいの青色申告 オンライン」では、簿記や会計の知識、専門用語がわからなくても必要な手順に従えば、複式簿記の帳簿や青色申告決算書が自動に作られます。さらに実際の納税額を決める確定申告書も、案内に従って入力を進めるだけで入力漏れもなく自動計算され、税務署にそのまま提出できる書類が作成できます

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できあがった青色申告決算書と確定申告書は、PDFファイルに出力して印刷すれば提出書類は完成。あとは税務署に郵送もしくは持参すれば確定申告の作業は完了します。もちろん、事業で発生した取引の入力を行っておくことが前提ですが、手軽で簡単な入力方法については後ほどご紹介します。

このようにしてできあがった「帳簿」「青色申告決算書」「確定申告書」は単に節税の役に立つということだけではありません。冨永氏は「行った一連の作業や書類は、未来へ向かうために現状を把握し、次なるビジョンを考えるための大きな材料」になると話してくれました。

冨永氏:セミナーで「決算書は誰のために作成するんですか?」と聞くと多くの人は自分のためとは思っていません。「納税は義務だから」と後ろ向きの答えが返ってくるんです。でも、「自分のためにやることなんだ」と発想を切り替えるだけで前向きに捉えることもできます。

人任せではなく自分で作成した決算書を見れば、1年の売上げ・経費・利益がわかり、結果として財産や現金がどのくらい残っているのかを把握できます。鏡に映る自分の顔色や表情でその日の調子を確認するのと同じで、パソコンのモニターに映る「やよいの青色申告 オンライン」の画面は事業の鏡なんです。

数字としてあなたの事業の表情が映し出されるわけですから、定期的にセルフチェックすること、調子を把握することはとても大事。もっとにこやかな表情にしたいと思えば次に行うべきアクションを見つけるきっかけにもなり、頑張ろうと思えるのです。

初心者でも使いこなせる「入力補助機能」が充実

さて、ここからは「確定申告の書類作成」に加えて大きな特長となっている「やよいの青色申告 オンライン」の3つのポイントを冨永氏が試用してみた感想と併せてご紹介します。

1.かんたん取引入力

事業の収入や支出などの取引を入力する場合は、「かんたん取引入力」画面で日付や科目、金額などを入力して登録するだけで簡単に行うことができ、青色申告に必要な複式簿記帳簿を自動で作成します。

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冨永氏:簿記には難しい専門用語がよく登場します。例えば、「1000円のボールペンを現金で買いました」という言葉を簿記用語にすると「(借方)消耗品費1000円/(貸方)現金1000円」となります。これは簿記のルールなのですが、青色申告の初心者が取引内容を入力する際は、なかなかこの仕訳がすぐに出てきません。

その点、「やよいの青色申告 オンライン」は、売上・仕入・経費などの科目を説明付きのリストから選べるだけでなく、「よく使う取引」をクリックすることで容易に見つけることができ、キーワード検索で探し出すことも可能です。簿記用語が見つけやすい日常の言葉にわかりやすく翻訳されて掲載されているので、迷うことなく入力をスムースに行えると思います。

2.スマート取引取込

銀行明細やクレジットカード、電子マネーなどの取引データを外部サービスから取得。会計データに自動で仕訳するので、入力業務を大幅に減らすことができます。また、自動仕訳は使えば使うほど仕訳精度が高まる学習機能があるので、より効率的な帳簿作成が可能になります。

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冨永氏:取引情報を自動的に取得できるのはとても便利ですが、銀行口座やクレジットカードを個人用と事業用とで分けていない場合があり、すべての取引情報を取得した後に必要のない取引を削除するのはとても面倒な作業になります。

「やよいの青色申告 オンライン」は、外部サービスからの取引情報を「YAYOI SMART CONNECT」が自動取得し、一覧表示されたなかから取捨選択して必要な取引だけ登録することもできるので、余計な手間を軽減できるのが便利ですね。

また、幅広い業種の個人事業主に対応するために、POSデータや電子請求書を取り込めるなど、連携先が随時拡大されているのも魅力です。

3.レポートの集計

登録した取引の集計結果がグラフで視覚化されるので、取引状況の推移や科目ごとの残高、損益、財務状況など、お金の動きが一目でわかり、PDFファイルに出力・保存することもできます。

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冨永氏:常に事業の状況を踏まえてアクションを起こしている人たちの成功事例を数多く目にしています。その意味で「やよいの青色申告 オンライン」のレポート機能は、売上と経費を見て日別・月別の損益がわかるので、定期的にチェックして売上を高めるための改善策を考えるなど有効に活用して欲しいですね。また、飲食店や小売店など現金商売をされている方は、日報代わりに使ってみるのもおすすめです。

このほかにもiPhoneやAndroidのスマートフォンから取引内容を登録できる無料のアプリ「bizNote for 弥生オンライン」、Twitterでツイートした取引内容を取り込む連携機能など、移動中や待ち合わせのスキマの時間を効率よく使って入力ができる「やよいの青色申告 オンライン」。パッケージ版で培われたノウハウがオンライン版にもしっかりいかされているので、初心者でもわかりやすく使い勝手がよい設計になっているのが最大の魅力です。

しかも、2015年3月16日申し込み分までは、通常8000円/年(税抜)のセルフプランが1年間無料に。通常1万2000円/年(税抜)で付加サービス(サポートや業務相談)が受けられるベーシックプランも初年度半額の6000円/年(税抜)とおトクなキャンペーンを実施中です。

では最後に、冨永氏から「デキる個人事業主」になるためのアドバイスです。

冨永氏:青色申告をやりたいと思うくらいの気持ちがあってビジネスをするのであれば、「やよいの青色申告 オンライン」は強い味方になってくれるはずです。

帳簿や申告書類の作成は過去の数字をまとめたものとは思わずに、過去があって現在、未来があるので、規模が小さなうちに基礎体力をつける意味でも賢く活用してみましょう。実はこうした会計業務は、ビジネスチャンスや今後のビジョンのヒントが見つけることができる宝の山でもあるんです。

確定申告の申請期限は3月16日。1年間無料で使えるセルフプランでも青色申告に必要なすべての機能が利用できるので、これから青色申告をする方は、ぜひ冨永氏のアドバイスを参考にして、今後の事業を成功させるためにも「やよいの青色申告 オンライン」の機能をフルに活用してみてください。

やよいの青色申告 オンライン|弥生株式会社

(ライフハッカー[日本版]編集部)