友人関係、仕事上の人間関係が、いつもスムーズに思い通りに結べるとしたら、どんなに楽なことでしょう。しかし、現実はそう簡単にはいきません。いい人間関係を結ぶには、それなりの努力をしなければいけませんが、忙しいとなかなかそこには時間を割けないものです。しかし、うまくいく時もあればダメなときもあるさ、とあきらめないでください。今回ご紹介するコツを参考にすれば、第一印象で好感を持ってもらい、そのイメージを持続させることができるかもしれません

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 ■第一印象はどう作用するのか

「第一印象を与えるチャンスは一回きり」と言う人がいますが、それはまさにその通り。だからこそ、最初の一歩が大事です。「Psychology Today」によると(英文)、第一印象は数秒で決まってしまうとか。

ある実験で、特に訓練を受けたわけではない一般の人に、就職面接の様子を20~32秒間見せ、面接を受けている人について自信がありそうかどうか、どの程度の好感度かということを評価してもらいました。そして、それぞれの求職者と20分ほど話をした面接官にも同じ評価を尋ねたところ、ほぼ同じ結果が見られました

人の見かけや性格、それまでどんな人生を送ってきたのかということは、そんなに短時間で簡単にわかってしまうのでしょうか?

数秒で第一印象が決まるというだけではなく、相手にインプットされたあなたの印象は、なかなか変えることはできません。「PsychCentral」(英文)によると、第一印象があまり良くなかった人に対して、後日違った印象を持ったとしても、最初の印象を消すまでにはなかなか至らないとのこと。つまり、例えばあなたが新しいボスとの面接で彼にいい印象を与えられなかったとして、これからいい仕事をすれば見直してくれるさ、と考えるのは安易かもしれません。オフィスパーティで細かいところに気づいてよく動き、上司にそのときはいい印象を持ってもらえても、仕事に戻ったときの印象は良くないまま...ということもありえます。第一印象がいかに大事かということが、これで伝わったでしょうか。

■良い第一印象を与えるコツ

こうすれば必ずうまくいく、という万能な方法はありませんが、好印象を与えるために最低限おさえておきたいテクニックがいくつかあります。

時間を守る

第一印象を与える機会が時間が決まったミーティングであれば、遅刻はいけません。「CareerBuilder.com」では、待ち合わせの5分から10分前につくのが良いとしています。それより遅くなると、遅刻するのではないかと気持ちが焦り、相手にもそれが見透かされてしまいます。早すぎた場合は、近くのカフェで気持ちを落ち着かせればいいでしょう。


しかるべき服装、身だしなみ

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初対面の相手には、常識的な範囲での身なりで会うべきです。お金をかける必要はありません。自分が持っているものの中で、きちんと手入れのしてある服装で行けばいいのです。時間がなかったからと、さっき庭の芝刈りをしていたシャツのままではいけませんよね。どの程度フォーマルにすればいいのかわからないときには、フォーマル寄りの方がいいです。カジュアルになりすぎる方が、フォーマルになりすぎるより印象が悪いからです。

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ボディーランゲージに気をつける

最初に会ったときのあなたのボディランゲージは、実際に発せられた言葉よりも饒舌にあなたについて語ってしまいます。緊張が顔に出ると表情が硬くなり、内向的で外の出来事に無関心な人に映ってしまうかもしれません。笑顔を見せましょう。腕や足を組んだりしないで、オープンな姿勢を見せてください。

相手が話しているときに首を少し傾げると、興味を持っているように見えます。なんだか難しそうだと感じた人は「Positivity」ブログにある記事、「仲の良い友達に会うような態度にするといい」(英文)を参考にしてみてください。以下はその抜粋です

今目の前にいる人が例え初対面であっても、あなたの親友の一人だと想像してみると、声がうわずったり緊張した表情を見せずに、自然に笑顔を見せられたり、フレンドリーなジェスチャーをできることでしょう。しかし、やりすぎには注意してください。いきなりハグしたり、キスしたりはやめましょう。

MSN lifestyle」(英文記事)には「ミラーリング」というテクニックが載っています。これは、話し相手のボディランゲージを真似するというもの。そうすることで、相手と同じ空気感を持つことができます。ここでも、過度に真似してしまうことのないようにしましょう。ミラーリングを学びつつ、もう一つ身につけておきたいのは、握手の方法です。ミーティングの始めと終わりに、ガッシリ握手できるように練習しておきましょう。


相手の名前を出す

会話の中で自然に相手の名前を出すチャンスをうかがいましょう。これも、途中で名前を呼びすぎるのはおかしいですが、適度に名前を出すことで、相手に親近感を持ってもらうことができ、同時に相手の名前も覚えやすくなります


自分のことを話しすぎない

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就職面接では自分をアピールしないといけませんが、それ以外では、むしろ聞き手に回った方がよさそうです。社会学者のCharles Derber氏は、「自己中心的な会話」は避けるように言っています。

意思の疎通には、自分への注目と相手への配慮のバランスが重要です。お互いが自分の話を聞いてもらおうとすると競争になりますが、お互いが相手に対する配慮を持っていれば協調が生まれます。

私たちは、自分のことを話すのに夢中になりがちですが、相手の話を聞く時間を十分に取ることで、良い第一印象を持ってもらうことが可能です。

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弱みを見せることを恐れない

好感を持ってもらうのに、パーフェクトな自分を見せる必要はありません。ちょっとダメなところがあるのを見せることは、あなたが誠実であることの証明にもなり、人間味があることを示すことにもなります。就職面接の場合、長所の裏返しを無理矢理短所とするよりは、たとえば「計算があまり得意ではないので、人事を希望しました」というように、その欠点を持っていても仕事にあまり影響はないということを話しましょう。


備えあれば憂いなし

第一印象を与えるチャンスはいつどこでやってくるかわかりません。突然の面接はないにしても、パーティで思いがけず前から会いたかった人に話すチャンスがあったり、スーパーでお買い物中に大事な出逢いがあったりするかもしれません。そんなときでも、あわてずに好感を与えられるように、心の準備は常にしておきましょう。ネット上で別の人格になっている人は、オフのときとどう区別したいのかを考えておく必要があります。


■好印象を持続させる

最後のステップは、その好印象を長く持ってもらうことです。ここからは、ビジネス上の付き合いが始まったとき、新しい友人ができたとき、新しい上司との関係が始まったときに心に留めておきたいポイントを挙げます。

連絡先のデーターベースを作る

私たちには悲しいことに、少し連絡を取らなくなっただけで忘れてしまう人はたくさんいます。そうならないようにするには、仕事関係の人と友人をわけてデーターベース化し、ごちゃ混ぜにならないようにするといいかもしれません。名刺を受け取ったらすぐにアドレス帳に加え、どこで会ったどんな人だったかをメモしておきましょう。こうしておけば、あとから名前だけ見て誰だったかわからなくなることが防げます。友人のデータベースをこのようにまとめておいていいことは、しばらく会っていないことがわかったときに「元気?」と声をかけられるということ。詳しくは次で...。


定期的に連絡を取る

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一度縁があって知り合いになった人との関係は、なるべく続けるようにしましょう。テクノロジーを使えば定期的に挨拶状を送ったり、テキストメールを送ったり、電話して声をかけたりするリマインダーを設定することができます。さらに、1、2週間に一度アドレス帳にざっと目を通して、最近連絡していない人がいないかも、確認する習慣をつけましょう。長電話をする必要はありません。友人なら、facebookで「最近どうしてる?」と書き込むくらいでもOKです。遠くに住むおばあちゃんであれば、電話して話す方が喜ばれるかもしれません。

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お返しをする

これはとても大事なのに、仕事関係でもプライベードでも、つい忘れてしまうことです。ネットワーキングしか頭にないと、あなたが会う人は、あなたに利益をもたらすだけの人だと思いがちですが、実はあなたも相手にとって価値のある人なんですよ。仕事上の付き合いのある人でも、仲のよい友人でも、誰かがあなたに何かしてくれたら、お返しに何かできることはないか確認しましょう。特にしてもらいたいことがなかったとしても、尋ねてくれたということは、相手の記憶に残ります。

ここでの鍵は、相手に対して感謝の気持ちを表すこと。大きなジェスチャーをしなくても、相手は自分のことを気にかけてくれたことよく覚えていて、あなたの印象はいいものとして長く残ります。親しい関係になったからといって、感謝の気持ちを表現することを怠ってはいけません。親しき仲にも礼儀ありですね。


■現実的になること

備えあれば憂いなしと書きましたが、会う人すべてに好感を持ってもらおうと頑張りすぎる必要はありません。仕事でもプライベートでも、合わない人はいるものです。あなたが好印象を持ってもらおうと努力しているその相手は、その価値がありそうな人ですか? 量より質。知り合いが多ければいいというものではありません。私たちがいい関係を結べる人の数は、実はそれほど多くないのです。

今回ご紹介したコツは、簡単に実行できるものです。良い第一印象を与えて困るケースはおそらくないので、まずは、いつでもこれらを実行してみましょう。練習を重ねれば、より自然にできるようになりますよ。

みなさんは、第一印象を良くするために何か気をつけていることはありますか?

Whitson Gordon(原文/訳:山内純子)