NISAはゴールではなくスタートだと考えるFP山崎(@yam_syun)です。個人にとってお金とは、貯めて殖やすことに目的があるわけではありません。何かに使ってはじめて価値があるわけです。しかし、金融機関の商売にとっては使い途はあまり関係がありません。読者の皆さんには、そこを間違えないで欲しいと思います。
さて、いよいよ10月1日からNISAの本申し込みがスタートします。9月最後の週は「ライフハッカー読者のための、NISA活用術」をお届けします。
今回まとめてみたいのは「どの金融機関でNISA口座をつくるか」「どういう投資をすればいいか」です。
1.口座手数料はもはやゼロがデフォルト
NISAを開設する金融機関は「口座維持手数料ゼロ」を選んでください。明示されていないところは選んではいけません。現状において公開されている情報を見る限り、NISA口座そのものに手数料を取らないところがほとんどのようです。口座獲得合戦の現在、今から手数料を取るわけにはいかないでしょうから、口座手数料はゼロと考えてよさそうですが、最終確認をしてから申し込みをしましょう。まかり間違っても有料のところで口座開設する必要はありません。
2.商品券等の口座獲得サービスは無視する
金融機関選びにおいて、電子マネーのチャージや商品券等のサービスを目当てに選ぶのはNGです。仮に2000円もらったところで、100万円の残高について0.2%の割高な運用手数料を払うだけで消し飛びます。
しかも1回きりのキャンペーンで、同じ運用を5年続けたとしたら(NISAは5年目の年末まで非課税売却のチャンスがある)、完全にマイナスです。
ティッシュぺーパーや貯金箱より金券化されたもののほうが有意義ではありますが、こうした口座獲得合戦に踊らされず、金融商品そのものの手数料について注目してみてください。
3.分からないなら投資信託の本数をまず見る
金融機関選びで悩むようなら、投資信託の本数をチェックして豊富なところを選びましょう。厳選されており、かつ良質なラインナップの金融機関を選ぶためには、私たちがその見極めをする能力が必要です。しかしそんな能力はない可能性が高い、ならば最初から本数が多いところを選ぶほうがベターです。
もちろん、最良の1本をあらかじめ選別できる能力があるなら、そこを選べばいいでしょうが、現実問題としてそれは困難だと思います。ちなみに、以下に挙げる条件をすべて満たす商品であれば、厳選商品といってもいいかもしれません。
4.手数料は「購入時」「運用期間中」「売却時」の3つを見よ
ときどき、手数料無料と書かれた記事を見ますが、多くは株式投資の場合で「購入時」のみを示していたりします。投資についてかかる手数料は「購入時」「運用期間中」「売却時」の3点でチェックすべきです。個別株の場合は運用期間中に費用はかかりませんが、投資信託の場合は運用期間中の手数料が生じます。比較検討のうえ、徹底的に割安なものを追求するほうがいいでしょう。
5.初めてなら「少額」「積立」で
投資が初めての人にとってNISAはよいきっかけです。しかし経験の浅い人がいきなり年100万円を入金する必要はありません。5千円~1万円程度の少額から始めてみれば十分です。年100万円の枠を使い切らせたいのは金融機関のニーズですが、そこに個人がつきあう必要もないのです。
また、自動引き落としの設定をして積立購入をするといいでしょう。無理のない金額を半自動的に積み立てていくことが可能ですから、サボらずに確実にお金が貯まる仕組み作りとしても積立を考えてみましょう。
6.迷ったら「インデックス型投資信託」で
もし、商品を決めかねているようでしたら、日本株を対象としている投資信託か国内外の株式を投資対象としている投資信託を選んでみましょう。運用の方針にインデックス(ないしパッシブ)と書かれているもの、商品名に「インデックスファンド」と書かれているものがそうです。
これらは手数料が割安でシンプルな値動きになります。たとえば日経平均に連動するインデックスファンドの場合、日経平均が+10%の場合、ほぼ確実に+10%の値動きをします。ニュースを見れば騰落のイメージがつかめる計算です。その代わり、手数料が低いものを選んでください。
7.どこかに申し込みはする
この手の説明においてもっとも重要なのは、「実行」することです。「へー、おいしい話だねえ」で終わってはお金は1円も貯まりません。実際に制度を活用してお金を積み立てて投資を実行した人が、税制優遇のメリットも受けられますし、お金も実際に貯まります。今回のコラムを参考に、ぜひどこかの金融機関でNISA口座を開設してみてください。
(山崎俊輔)
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